とある美術教師の制作日記

絵の制作や教育のことなんかのつぶやき

どうして子どもが昆虫が好きか、考えてみる

小学生の子どもが明日から学童が始まるので、今日はひとまず最後の休みということで近くの公園に虫取りに行った。


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どうして子どもは昆虫が好きなのかをデザイン的な要素を踏まえ、考えてみた。

虫取りの前にボート漕ぎをして、風が強くて体力を使ったことと強風による船酔いで気持ちが悪くなった。ベンチで休みながら、昆虫採取を夢中にしている子どもを見て、なぜ子どもが昆虫が好きなのか、気になった。

 

大人でも昆虫が好きな人はいるが、あまり好きな人は見かけなくなる。

妻も捕まえることはできるが、家で飼うのは、夜ガサゴソするのは嫌だと嫌がる。

そんなに都会生まれだっけ?と思うのだが、キャッチ・アンド・リリースがうちの鉄則だ。だからカブトムシやクワガタ虫を飼う(買う)のはもっての他である。しかし、子どもたちはカブトムシなどを飼うことを夢見ているが。昆虫図鑑やNHKの「昆虫すごいぜ」などを見て、勉強中だ。

 

さて、そんな子どもの心を捉えて離さない、昆虫の魅力を考えてみよう。

①外観のデザイン

決定的な違いは、やはり外骨格ではないかと考える。

プラスチックみたいな光沢があったり、メッキ色に光ったりと、鎧のように覆われた姿にかっこよさを覚えるのではないかと思う。哺乳類のように内骨格で柔らかい肉、皮膚に覆われた姿とは違う、表面の鎧のような外装、光沢に惹かれるのではないか。だから、子どもたちは似たようなスーツに覆われたスーパーヒーローが好きなのではないかと思う。その感覚を狙って特撮ヒーローなんかはデザインされているのだと思う。ボディビルダーが油を塗って肌を光らせるのもその一つだろう。子どもがガンダムみたいなロボットを好きなのも、外骨格が固そう、強そうに感じるからだと考える。大人になっても車やバイク、金属系のメカが好きなことなんかも昆虫好きと共通するところがありそうだ。

あと、外骨格ということで太ったり、垂れたりした感じがない。その緊張感があるボディにも惹かれるのではないかと考える。さらに強力な牙や角、顎があればなおのことだ。

 

②力強さ

昆虫は戦う。メスや餌を取るために戦う姿がある。その剣闘士のような剥き出しの闘志にかっこよさを感じるのではないかと思う。戦いに敗れてもシュンと落ち込んだ感じもない。これが哺乳類の争いになると負けた方は落ち込んでしょんぼりと逃げていく気持ちが伝わってくる。また、動物園のライオンなんか見ても、暇な時や暑い時は無防備にだらっとしている。やる気のなさが伝わり、見る方も辛い。でも、これが昆虫になると「お前、サボるな!」という風にはならない。一生懸命に生きている姿を感じる(気持ちがわからないだけかも)。

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③機能的なデザイン

一番は、羽のたたみ方だと考える。

この前、翼竜展に家族で行ったのだが、進化の過程で翼をどう、折り畳むかが恐竜の進化で大きな課題であったように感じた。プテラノドンのような翼竜は地上などでは、羽を折り畳みはするが、手が長すぎて歩行には邪魔そうだった(羽の半分は薬指が伸びたもの)。そんな中で鳥は羽毛を利用しながらコンパクトに翼を折りたたむことができるようになった。

昆虫は手足の自由を保持しながら(翼竜や鳥は手を羽にしている)、手足とは別系統で羽を動かし、空を飛ぶことができる。地上や水中で暮らしながらも空を飛ぶ力を持っていること、カブトムシやバッタなんかのように上手く羽を折りたためる姿に洗練されたデザインの美しさを感じる。トンボや蝶は羽は畳めないが、空を制覇する姿は、人間の憧れだ。

また、クワガタのアゴやカマキリのカマ、蜂の針、バッタのジャンプなんかも洗練された機能だと考える。その武器を持つそれぞれの特徴が魅力であると考える。ヒーローマンガの1人一つ持つ特殊能力のような魅力を感じる。

 

④変態(変身)=形態デザインの変化

昆虫は外観を成長と共に大きく変えるものが見られる。

バッタやカマキリは変わらないけど、芋虫から蝶やカブトムシに変化する様子は、哺乳類には想像がつかない。近い動物で大きく変化するのは、両生類のカエルがオタマジャクシから変化することだろうか。

成虫へと大きく変化する姿に変身もののアニメのように、子どもたちは凄さと憧れを感じるのではないかと考える。なんだかんだ、ヒーローものの特撮みたいになってきた。仮面ライダーはこれを抑えているんだろうな、顔もバッタだし。

 

⑤あとはレア感?コレクション性?

昆虫は捕まえる感じが良いのかもしれない。食糧のように食べるために狩るわけではない。あくまで珍しさから集める。種類も色々といて、手のひらに収まるサイズだ。だから複数集めることができる。簡単に捕まえられないところも良いのかもしれない。ちょっとした子どもでもできる狩り感覚。

ポケモンもここが受ける理由があるのだと思う。
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まとめ

少し考えてみただけでもいくつかの子どもに受ける要素があることがわかった。この要素を踏まえていくと子ども受けするものが作ることができるのではないかと思う。

大人になる過程で昆虫から離れるのは、哺乳類からは離れすぎていて、外観的にも内面的にも歩みよれない所に気がつくからかなと思う。大人になっても好きな人は好きだけど。

美術をする人は、ふと、そんなことを熱心に考えてしまう生き物です。