とある美術教師の制作日記

絵の制作や教育のことなんかのつぶやき

失恋は人生のバネに。

ちょっと、話題が暗くなってきたので、どうして美術に進んだのかの話。

 

高校時代、なんとなく、大学に進もうと考えていたけれど、友達と毎日、学校で過ごすのが楽しかった。全然勉強していなかった。定期テストは一夜漬け。

休みの日も高校に来ており、枯れ葉が落ちており、近くのスーパーで芋買ってきて、枯れ葉を集めて、こっそり、芋を焼いて、食べた。枯れ葉を集める姿を校長先生が見ていたらしく、始業式のあいさつで、「休みの日に枯れ葉を掃除している生徒がいて感動した」と話があって驚くようなお馬鹿な生活を送っていた。

 

高校2年生の終わりにあまり勉強せず、低空飛行をしていた時に進路を決めねばならなかった。

通知表を見たら、美術だけ良い成績だったので、美術に進学しようと決めた。

それくらいだから、上手くいくはずはない。

さらに3年生の時に彼女ができて、毎日、片道1時間くらい家まで送り、帰っていた生活なので受験前に成績も上がるわけない。

まぁ、高校生くらいの頃には、これが彼氏の義務みたいな勘違いをして、満足感を得ていた。

 

センターテストも失敗し(実力通り)、それから絵の塾に通って(遅すぎる)、大して練習もせず、地元の大学の教育学部の美術を受験した。案の定、不合格。

かすりもしてなかっただろう。彼女も不合格で一緒に浪人することになった。

 

それで二人で都会の予備校に通うことにした。

しかし、都会に出たのが楽しくて、授業をサボってショッピングモールなどに出かけてデートしていた。

反省なく、また、僕は受験に失敗してしまった。

予備校で働いたことがあるのだけれど、浪人しても8割くらいの生徒は、成績がそのままか、逆に下がる。

自己管理になってしまうので得意科目ばかりして、苦手科目からは逃げて余計下がる。

1学期くらいバリバリ頑張っていた生徒も、夏休みに大学に行っている友人たちと遊んだりして、自分も半分大学生みたいな気分になり、夏休みをピークに下がり始める。

僕もアルバイトをしてしまい、訳のわからないキャンプセットを10万円分、買い、大学に進学した友人たちの車でキャンプに行った。お馬鹿だなぁ。

受験生は絶対アルバイトはしない方が良い。よっぽど、家計が苦しくない場合は。

数千円だった小遣いが数万円になるので勘違いをする。

そんな中、彼女は、押さえるところは押さえていて、隣の県の国立大学に合格した。

そして一人暮らしをすることになった。

 

僕は、2浪することになった。

親からは「お金がもうない」と自宅学習することになった。

流石に友人たちも2浪する人は少なかった。

彼女は、大学入学して学生生活やサークル活動など、新生活が楽しくなっていた。

ある日、電話がかかってきた。

「好きな人ができたので、別れてほしい」

それは新生活で前に進む彼女には仕方のないことだ。

僕は、2浪のショックとフラれたショックで2週間くらい落ち込んだ(自業自得)。

人間、落ち込むとご飯をちゃんと食べていても1週間で5kgくらいやせることを知った。

ずっとグズグズ未練がましく、部屋にこもっていたし、友達の家を渡り歩き、傷心を癒して回った。

 

そして、ある程度、落ち込んでから、ふと思った(この開き直りが唯一僕の良いところ)。

「いや、これじゃ誰が見てもカッコ悪いし、彼女からフラれても仕方ない。」

クソっと思って、心を入れ直すことにした。

勉強できない自分を受け入れ、教科書から一から初めて学ぶつもりでやり直した。

基礎を何度もやるうちに、自然と応用問題も解けるようになった。

大の苦手が苦手になり、苦手が普通になり、普通が得意になった。

美術の実技も、夜間部しかない塾なのに、昼間から入れてもらい、一人でせっせと練習した。

すると、センターテスト前には、偏差値が20〜25くらい上がり、志望校が上位校に変わった。この頃になると模試を受けるのが楽しくなる、成長を実感して。

実技も塾では一番ぐらい上手くなり、大学受験では、美術系コースでは1、2番取れたくらいに上手だった。

オマケに彼女も取り返した(ちょっと遠距離になり過ぎて、大学で別れてしまったが)。

ちなみに3浪はするまいとセンター試験の結果出しっぱなしで、都内のとある大学の美術とは関係ない大学に合格していた。入学金は払わなかったが。

大学の英語の授業で、外国のニュースを見るものがあり、その大学の寮が出ていた。

青野大学の寮では、学生の交流を兼ねて、カラオケボックスがあってみんなで歌っていた姿があった。行かなくて良かった。あの中で遊んでいたなと引いた。

 

失恋をきっかけに大きく成長することができた。

「夢をかなえるゾウ」の本にも書いてあったが、失恋は、自分を大きく変えるために良いことだ。

この経験がなかったら、本当にダメ人間だった。

20歳前後には、失恋は心のダメージが大きい。友人には顔合わせないために留年した人もいた。これほどエネルギーに変えることができるきっかけはないと思う。

 

生徒にもこの話をしている。もちろん笑い話。

先生は、立派な人間ではないよ。

失恋や失敗を重ねて人間は成長する。

覚悟を決めると人間は大きく成長するよと。

 

でも、自宅浪人であまり伸びなかった教科が一つだけある。

それは英語。発音とリスニングは、やっぱり見てもらった方が良い。

大学でも危うく、卒業がやばかった。

今も苦手。