とある美術教師の制作日記

絵の制作や教育のことなんかのつぶやき

チェンソーマンになってみた。

もちろん、ウソだけれど、後でチェンソーマンについて少し触れる。

水曜日は大雪の恐れがあり、休校だった。

火曜日が高校入試で採点結果の書類作成のために休校だけど、出勤だった。

朝は-7℃だった。雪も残っていた。

僕は採点後の書類作成の係だったので待っている間に、美術室の大掃除をした。

学校では、年度末に業者を頼んで粗大ゴミや産業廃棄物のようなゴミを廃棄する。

それで大量のゴミを仮置き場に出した。

ゴミにからんで、美術の先生は、良くないイメージを持たれているところが3つある。(僕の個人的な考え。全ての先生に当てはまる訳ではない)

①マイペースなせいか、係への提出の書類など、締切を守れない先生が多い。

 (さすがに受験の書類は遅れないが)

②勉強が苦手で進路指導部、教務部などの頭を使う系の仕事を避けがちである。

ゴミに価値を感じるのか、片付けが下手で散らかっている先生が多い。

 (道具や材料を多く持っているため?)

 

というイメージが強いので、僕は特にこの3つに気を付けている。

①については、生徒と同じで常連の先生がいる。だから、僕は基本、遅くても締め切り 

の1日前には書類やレポートを仕上げて提出するようにしている。どこの会社でも同じだと思うのだが、仕事が早いとちょっと違うなと思ってもらえる。

 

②については、僕は進路指導が高校の要だと考えているので、積極的に取り組んでい 

る。勉強のために公務員の課外も生徒に行なっていた。教務部は生徒の在籍や成績、 

時間割、入試などを扱う部署である。学校の運営で中心となる部署である。最近はこの部署にいる。進路が好きなんだけど。

 

今回のポイントは③である。美術の先生は片付けられない人が多い。特に彫刻専門の先生に多い気がする。色々な素材を扱うためか、彫刻系の先生は粘土や石膏、道具、台、様々な素材、モチーフ(デッサンなどのモデル)、趣味のものなど、簡単には燃えるゴミに出せないようなものが溢れている。

 今の学校に4月に来た時には、美術室の3分の1が、数十年前からある道具、作品のゴミ置き場になっていた。窓際の棚も、物で溢れており、カーテンも開けられないような状況で窓にはカビまで生えていた。彫刻の先生の石膏の粉やコンクリートなんかも残っている。生徒が使う分の机以外の机は全部、物が置かれていた。何代前の美術の先生からそうだったのかわからないが、その薄暗い美術室に耐えられなくなった。

「いつか使うだろう」「まだ使えそう」が、数十年も積み重なり、この先、絶対使うことのないものが山積みになっている。これを僕は「負の世界遺産」と呼んでいる。

これらが美術室の3分の1は形成している。(ナウシカでいうなら腐海

 

僕は決して自分のことを綺麗好きとは言わないが、時々、限界のスイッチが入る。せっかく美術を学びに来てくれる生徒に、美術室が汚い中で制作させるのは、失礼じゃないかと思う。

教室もそうだけれども、汚いところに生徒だって来たくない。

机などが散らかっている先生に限って、綺麗にしろ!片付けろ!と生徒に言ったりする。よく言えるなぁ〜と思う。

 

というところで、春休みはそんな状態でやる気スイッチが入り、70Lのゴミ袋に30袋くらい、本も100冊は処分した。春休みの会議の空き時間は美術室掃除に励んだ。

何とか、人間の領土を6分の1くらいは取り戻した。(進撃の巨人だと領地を奪還)

残りの6分の1は、50kgの重さはする銅版画用のプレス機、古い金属パイプの折り畳めないイーゼル↓、謎の古い木製の大きな台が複数と古い油絵のキャンバスが数百枚、古い額縁などが残った。*古いは40年以上レベル

今回は、その奪還作戦2回目だ。

今回は粗大ゴミを出すことができる。

新しい木製のイーゼル↑を5つ買ってもらえたので(事務室と仲良くするとお願いを聞いてもらいやすい)、金属パイプのイーゼルを40個捨てた。推定50年以上は前のもの。キャンバス、額縁も100個単位を捨てた。

そして、木の台がこれも推定50年以上は前のもので4人くらいじゃないと運べない代物。これを人生初のチェーンソーで切り裂いた。

今は、バッテリー式でできるチェーンソーがあり、事務室に借りた。

結論からいうと思ったより、ガンガンは切り裂けない。重いし、割とゆっくりだ。

チェーンソーを使う彫刻家がいるが、ゆっくり切れるからこそ、彫刻しやすいのかなと思った。

チェンソーマンは、今、流行りのアニメで生徒と話題を合わせるために冬休みに絵を描きながら見た。その感想はまた今度。(チェンソーマンではない)

でも、チェーンソーは、ワイルドな感じだけど、刀や包丁みたいにスパッとは切れない。アニメでは、チェンソーマンは、チェーンソーを振りかざす悪魔で、敵の悪魔を切り裂く残虐なキャラクター。でも、チェーンソーという道具自体は、ゆっくり、冷静な心で切っていく道具だと感じた。イメージと実際違う。

 

何とか、腐海を美術室の8分の1くらいにすることができた。

あとは、これも2、30年前の数十キロの粘土が入ったツボが3つくらいあったり、デカイ系のキャンバスがあったりして、これは今回では処分できないなと挫折し、細々したものを片付けた。

今回の結論から、何年経っても、お宝にならないものは、ならない。

何年経ってもゴミはゴミ!

それを集めて溜めてしまうのが美術の先生。

あなたの知っている美術室もきっと散らかっているハズ。