とある美術教師の制作日記

絵の制作や教育のことなんかのつぶやき

教育実習の先生が帰っていった。

この間、教育実習生が実習を終えて帰っていった。

女性の体育の先生で、母校で、うちのクラスに3週間、所属していった。

「仲の良いクラスで楽しかったです。みんなと別れるのがさみしいです。」

と最後に挨拶に来てくれた。

教育実習生を受けたことが何度かあるが、

毎回、良い思い出を持って帰ってほしいなと思う。

 

僕は大学と連携した大学の近所の中学校での実習だった。

僕自身もそうだったけれど、実習に行って楽しかったし、

教師になりたいと強く思うようになった。

子どもは良くも悪くも反応を返してくれるので、

それがとても新鮮でやりがいを感じた。

大学では人と競うために美術をしていたので、

人に教えて喜んでもらう楽しさを知った。

 

教育実習生に初日に話すことは、クラスの生徒の顔と名前を早く覚えること。

僕は、教育実習の最初の2日間、生徒の名前と顔を覚えておらず、

仲良くなれず、お客さん状態だった。

クラスに溶け込めない疎外感とその帰りでバス停に置いていた自転車も盗まれ、

ダブルショックだった。

ふと、反省して必死に名前と顔を覚えたところ、クラスの生徒と仲良くなり、

楽しくなった。

結局、名前と顔を覚えてないことで自分から生徒と距離をとってしまっていたことに気づいた。

その経験から僕のクラスに来る教育実習生にそれを伝えることにしている。

 

最後の週にお決まりだけれど、教育実習の先生に向けて色紙と花を用意した。

週の始めの休み時間にクラスに貯金箱を持って行って、

生徒たちに教育実習の先生に色紙と花を贈ろうと思うので、

今週まで一人50円寄付して!と伝えた。

全員から無理に集めようとは思ってない。

ただ、僕だけがお金を出して用意するのも変だし、形の上でしている。

予告もしていない、急な話だし、ちょうど小遣いがない生徒もいるだろう。

でも、生徒たちはそのすぐから行列を作ってお金を入れにくる。

いい奴らだな〜と思う。

最後の日に貯金箱を回収したが、クラス全員分のお金が入っていた。

クラスに1週間設置していたので教育実習の先生も気になっていたが、

生徒は、

ユニセフユネスコでしたっけ?」と誤魔化していた。

それで最後の日の終礼で教育実習の先生が挨拶をして、

ギリギリまで色紙を生徒が書いていたために上手く渡すスムーズに取れなかった。

すると、副学級委員の男子が

「ちょっと待ったー!」と手を挙げて静止し、

無事に先生に渡すことができた。

意外と教育実習の先生は予想していなかったのか、

受け取ると泣き出した。

こういう時の涙は良いなぁと思う。

みんなで写真を撮った。あとで教育実習の先生にも渡した。

生徒たちも良いことしたと思い出に残る。

人に施した優しさは、まわりまわって自分に返ってくる。

それを理解してくれてるかなぁ?

僕の教育実習では大学に帰った後は、

実習を経験者した者同士がグループごとに体験を語り合う場があった。

中に、全然、実習先の先生に相手にされず、何をしてないような学生がいた。

自分は多くの貴重な体験をしてきたのに、

何も得ない人がいるんだなと衝撃を感じた。

本当に実習先の先生に相手にされなかったのか?

でも、教育実習は先生を目指すか、どうかの分かれ目だ。

ずっと小さい頃から先生を目指していた人も、

教育実習が上手くいかないと目指すのをやめてしまう。

逆にそう思っていなくても教育実習に行ったことで志す人もいるだろう。

だから、教育実習の先生には良い思い出を持って帰ってもらいたい。

その後、先生を目指すかどうかは、本人次第だけれど。

 

先週、生徒が応募した美術のコンクールの結果を地元の新聞で探していたら、

たまたま、とあるスポーツの日本選手権への代表を決める、

県予選大会の決勝の結果が載っており、

うちに来ていた教育実習の先生が準優勝してた。

優勝してはなかったけど、そんなに強かったのね。